診察時間
午前9:00-12:00
午後15:00-18:00
手術時間12:00-15:00
水曜・日曜午後休診
「大学病院や高度医療センターを紹介します」
診察室でそう告げられたとき、多くの飼い主さんは動揺されます。
「うちの子は、もうここでは診てもらえないほど悪いのか」という絶望感。
「先生に見放されたのではないか」という孤独感。
そして、「あちらの病院に行ったら、もうここには戻って来られないのではないか」という、かかりつけ医に対する一種の「申し訳なさ」や「浮気心」のような葛藤。
最初に断言します。
私たちが二次診療(高度医療)を紹介するのは、決してあなたを見捨てたからでも、治療を放棄したからでもありません。
むしろ逆です。
「あやふやなまま治療を進めることは、この子の命に関わる」と判断したからこそ、勇気を持って「外部の力」を借りる決断をしたのです。
今日は、高額な医療費と労力をかけてでも二次診療に行く「本当の意味」と、そこで飼い主さんが果たすべき「重大な役割」についてお話しします。
私たち一次診療(かかりつけ医)は、日々の健康を守るプロですが、万能ではありません。
院内の検査機器や経験則だけでは、どうしても「白」か「黒」か判断しきれない壁にぶつかることがあります。
この「グレーゾーン」のまま、なんとなく薬を使うことほど怖いことはありません。もし見立てが違えば、薬が逆効果になり、取り返しのつかない事態(エラー)を招くからです。
二次診療に行く目的はただ一つ。
高度な設備と専門医の知識で、このグレーゾーンを完全に「白黒」つけるためです。
数十万円という高額な費用は、治療代というよりも、「確定診断」という名の「正確な地図」を手に入れるための対価だと考えてください。
紹介先の病院に行くことを、「かかりつけ医への裏切り(浮気)」のように感じてしまう優しい飼い主さんがいます。
「向こうの先生の方針に従ったら、いつもの先生が気を悪くするんじゃないか」と。
それは大きな誤解です。
高度医療の現場において、私たち獣医師と飼い主さんの関係は、以下のような「病院組織」に例えられます。
この3人が揃って初めて、高度医療は機能します。
教授(専門医)と担当医(私)をつなぐことができるのは、現場を行き来する「看護師長(あなた)」しかいないのです。
治療の地図(計画)ができあがっても、実際の現場では必ず「想定外」が起きます。
こうした「エラー(異変)」が起きた時、ただオロオロしてはいけません。
すぐに「現場の担当医(私)」に報告してください。
「先生、教授の地図通りに進めていますが、食欲低下というエラーが出ています!」
そう報告(フィードバック)していただければ、私が現場で処置をし、必要であれば教授(専門医)に「計画の修正」を依頼できます。
この連携プレーこそが、高度医療における安全管理(リスクマネジメント)です。
高度医療は、経済的にも精神的にも大きな負担です。
だからこそ、専門病院での診察を「世間話」や「先生にお任せ」で終わらせてはいけません。
行く前には必ず、私たちと「作戦会議」をしましょう。
看護師長として、教授(専門医)から「確定診断」と「明確な方針」というお土産を、意地でも持ち帰ってきてください。
「向こうの先生はこう言っています。でも、通院が大変なので普段のケアは地元の先生にお願いしたいと伝えてきました!」
そう堂々と言ってくださることが、私たちにとって一番の助けになります。
私たちは「浮気された」なんて思いません。「優秀な看護師長が、的確な指示を持ち帰ってくれた」と感謝し、全力でサポートします。
愛犬・愛猫の命を守るためのチーム医療。
その中心にいるのは、獣医師ではなく、あなた自身なのです。