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なぜ当院は「獣医師1名・動物看護師1名」なのか?命の現場における最適解

「先生の病院は、看護師さんが1人しかいないんですね」
当院にご来院された方から、時折そのようなお声をいただくことがあります。スタッフがたくさんいて、常に人がバタバタと走り回っている大きな病院と比べると、規模が小さいと感じられるかもしれません。
しかし、当院が現在の「獣医師1名・動物看護師1名」という体制をとっているのには、明確な理由があります。かつて複数人のスタッフを雇用していた経験、そして獣医療業界の教育の現実から導き出した、私にとっての「最適解」なのです。

華やかな資格と、命の現場の残酷なギャップ

近年「愛玩動物看護師」が国家資格化され、夢のある仕事として注目されています。しかし教育施設の現場では、採血などの実技演習を「ぬいぐるみ」や模型で行うことも多く、実際には生きた動物相手に実演ができないまま現場に出てくるのが現実です。

動物病院の現場は、常に危険と隣り合わせです。
言葉による事前の説明を受けられない動物たちは、自分の身体に何が起きるかわからない恐怖から、本能的な「闘争・逃走状態」に陥ります。パニックによってアドレナリンが過剰に分泌され、交感神経が極度に緊張すると、最悪の場合はショックや虚脱を引き起こし、命に関わることすらあります。だからこそ、恐怖を感じている動物に対して、力任せに無理矢理処置をすることは絶対に避けなければならないのです。

恐怖でパニックになり、意図せず攻撃的になってしまった動物の採血をする場面を想像してみてください。採血をする側は動物から距離があるため安全ですが、暴れる体を必死に抱きしめている側(保定者)は、真っ先に爪や牙の犠牲になります。
動物がどこでストレスの限界を迎えるのか。パニックの兆候に初期段階(フェーズ1)で気づけなければ、動物の命も、自分や仲間のスタッフを怪我から守ることも不可能です。「採血の手技を知っている」ことと、「動物の感情と身体反応を読み取り、安全にコントロールする」ことは全く別次元のスキルなのです。

「命の現場」と「テレワーク」を同列に語る求職者たち

ぬいぐるみ相手の練習しかしてこなかった新人を、日々の忙しい診療と並行しながらゼロから現場で教育し、「自律して働けるプロ」に育て上げるには、教える側に相当な覚悟と労力が必要です。
そのため多くの病院では教育を諦め、資格を持った若者をひたすら長時間の清掃や裏方業務に回してしまいます。その結果、現実に直面した若者が3年以内に別の職種へ転職していくという悲しい連鎖が業界に蔓延しています。

以前、当院の面接でこんな方がいました。
「国家資格化されて夢のある仕事だと思ったけれど、業界全体がブラックな環境だから、結局はコンピュータ系のテレワークの方が最強ですよね」

私はその時、まさに当院のスタッフのために、独自の『麻酔の安全指導マニュアル』を執筆している最中でした。目の前の命を絶対に落とさないよう必死で教育システムを作っている私の前で、命のやり取りをする現場とテレワークを安易に比較し、「楽な方がいい」と言い放ったのです。

同時にその発言は、テレワークという形で高度なIT技術を駆使し、社会貢献を果たしているプロフェッショナルの方々に対しても極めて失礼だと感じました。どのような職種であれ、第一線で価値を生み出すには、相応の厳しい「修行」と研鑽が不可欠です。すべてのプロへの敬意を欠き、仕事を単なる「楽な逃げ道」のように語るその底の浅さに、私は言葉を失いました。

私は、当院の大切な患者様を「ただ承認欲求を満たし、楽をしたいだけ」のスタッフに触らせるつもりも、逆に志あるスタッフを「ただの清掃要員」として消費するつもりも一切ありません。当院には以下のような方は合わないと明確に考えています。

  • 「楽をしたい、都合の良い環境だけ欲しい」という方
  • 「自分のやりたい採血などの手技ができるから来た」という、自身のスキルアップのみが目的の方

採血など有資格者としての手技の向上はもちろん大切です。しかし、将来後輩をサポートする立場になるのであれば、まずは動物の安全を最優先に確保し、異変に気づける「縁の下の力持ち」を育成できる、指導者レベルの教育能力が不可欠になります。
私が昔から心から応援し、育てたいと願ってきたのは、「ひたすら飼い主様に信頼され、動物たちを守れる動物看護師になりたい」という、真摯な想いを持った人なのです。

事後報告では誰も守れなかった過去

かつて当院で複数のスタッフを雇っていた時期、私は同じ階の院長室にいながら、現場のスタッフの怪我やトラブルの「事後報告」を受けていました。
正直に申し上げれば、当時の当院は教育システムが未熟であり、複数人のスタッフを抱えることで完全に私の管理能力(キャパシティ)を超えてしまっていたのです。すぐ近くの部屋にいながら報告を受けるだけのシステムでは、怪我をする前にスタッフを守ることも、その場で危険の兆候を教えることもできませんでした。

さらに、スタッフが入れ替わる環境では、命に関わる麻酔管理の微妙な変化や、飼い主様とのご相談業務における大切な「文脈(コンテキスト)」が、引き継ぎの度に少しずつ抜け落ちてしまいます。複数人いることで生まれるその「死角」が、医療現場では最も恐ろしいのです。

本物の責任と教育のための「最適解」

当院のスタッフには、安全に働き、飼い主様からいただいた「意味あるお金(診療費)」に対する重い責任感と誇りを持って仕事をしてほしいと願っています。
それを「本当の意味で」私が手抜きなくサポートし、教育しきれる限界はどこか。
行き着いた答えは、私自身がすべての現場に立ち、1人のスタッフに全精力を注いで1対1で教育と確認を行うことでした。

当院の診察室には今、私と、私が全責任を持って教育し環境を守り抜いているたった1人の専属動物看護師しかいません。
先日、がん摘出の手術を行っていた時のことです。専属看護師の小沼が、手術中の私にこう声をかけました。

「先生、さっきのしこりはとても大きくて大変だったと思うけど、転移している残りのがんをとってあげてください。バイタルは大丈夫、麻酔は大丈夫です」

この言葉を聞いた時、私は現在の体制こそが正解だったと確信しました。麻酔の安全を完全に任せられる揺るぎない信頼関係があるからこそ、私は外科医として、目の前の命を救うことだけに全力を注ぐことができるのです。

毎回違うスタッフが対応する不安も、情報の伝達漏れもありません。「誰にやってもらうか分からない大きな病院」ではなく、「この2人になら命を託せる」と思っていただける究極の医療チーム。
これからも、皆様へ最高水準の安全と医療を提供し続けてまいります。それが、さだひろ動物病院の誇りです。


Summary (English)

Our clinic operates under a strict “One Veterinarian, One Veterinary Nurse” policy. While smaller than typical animal hospitals, this is our optimal solution for ensuring the highest level of safety. In veterinary medicine, animals cannot understand verbal explanations, making them prone to severe panic and potentially fatal shock. A true veterinary professional must be able to read an animal’s emotional and physical state to prevent these crises—a skill far beyond simply knowing how to draw blood.

In the past, managing multiple staff members led to communication gaps and a lack of proper hands-on training, creating dangerous blind spots in both animal care and staff safety. To completely eliminate these risks, I decided to focus all my educational efforts on training one dedicated nurse. Today, we function as an ultimate, unified team built on absolute trust. This unwavering partnership allows me to focus entirely on life-saving surgeries, knowing the anesthesia and the animal’s vitals are in the safest hands. We are proud to offer a clinic where owners can confidently say, “I trust these two with my pet’s life.”

摘要 (中文)

本院坚持“1名兽医、1名动物护士”的经营体制。虽然规模上不如大型宠物医院,但这是我们为了提供最高水平的安全与医疗而得出的“最优解”。兽医临床充满了危险,动物因无法理解事先的说明,极易陷入恐慌,引发甚至危及生命的休克。这要求护士不仅具备抽血等操作技能,更需要拥有敏锐洞察动物情绪并保障其绝对安全的能力。

过去在雇佣多名员工时,交接中的信息遗漏和指导不到位曾是巨大的隐患。为了彻底杜绝医疗盲区并保护员工,我决定将全部精力倾注于一对一培养一名专属护士。现在,我们建立了一支基于绝对信任的医疗团队。正因为有着能够完全托付麻醉安全的默契配合,我才能作为外科医生,将全部精力集中在拯救眼前的生命上。我们的目标是成为让宠物主人毫无顾虑、安心托付生命的终极医疗团队。