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アジソン病の子の膿皮症(耐性菌が疑われるケース)

アジソン病の子の膿皮症(耐性菌が疑われるケース)では、皮膚治療そのものより先に、治療で体調を崩さない設計が最重要になることがあります。
特に、シャンプー後にぐったりする場合は、皮膚を良くするための処置が、逆に全身状態を悪化させてしまう可能性があるため、治療の組み立てを見直します。

この記事でお伝えしたい結論


「全身シャンプーで治す」より、「局所(拭く・置く・点で塗る)」中心へ。
体調を守りながら感染を抑えるには、培養検査で方針を確定し、洗い流し治療を減らして、leave-on(洗い流さない)を主軸にするのが安全寄りです。

こんな状況で起きやすいこと(なぜ「シャンプーでぐったり」する?)

  • 濡れる・冷える・拘束されるというイベントが重なり、体がストレスに耐えにくい子では一気にしんどくなることがあります。
  • 時間が長いほど負担が増えるため、「きれいに洗う」ほど体調面では不利になることがあります。
  • アジソン病の子は、体調が崩れるときに食欲低下・嘔吐・下痢・虚脱が出やすく、腎臓や心臓に持病がある場合は、さらに影響が大きくなります。
  • そのため皮膚治療では、「頑張って洗う」より「短時間で終わる方法」を選ぶ方が、結果的に治療が続きやすくなります。

まず優先するのは「培養検査」と「局所で勝つ設計」

  • 膿皮症が強く、過去の治療歴などから耐性菌が疑われる場合、培養検査(細菌培養・薬剤感受性)を早めに行う価値が高いです。
  • 培養の採材は、可能なら何かを塗る前が理想です。すでに何かを使用している場合は、状況により一時中止して採材を検討します(主治医と相談)。
  • 今回のようにシャンプーで体調が崩れやすい、さらに腎臓・心臓にも配慮が必要という条件では、全身投与を増やすより、局所治療を最大化する方針が安全寄りです。
  • ただし局所治療だけで押し切れないほど悪化している場合は、感受性結果に沿って全身投与を最短で併用する方が、結果的に長引かず負担が少ないこともあります。

シャンプーを減らす代わりに主役になる「leave-on(洗い流さない)」

  • シャンプーが負担になる子では、「洗う」より「拭く/置く」が現実的です。
  • 代表例としては、クロルヘキシジンのスプレー・フォーム・ワイプなど、洗い流さないタイプの局所ケアが使われます。
  • ポイントは、こすらない・短時間で終えることです。きれいに仕上げるより、続けられる方法を選びます。
  • 皮膚が多発だけど局在している場合は、毎日すべてをやらず、部位をローテーションして負担を下げる方法が有効です。

「瘡蓋を取って直に塗りたい」時の安全な考え方

  • 瘡蓋の下に細菌や滲出があると、確かに薬が届きにくいことがあります。
  • ただし無理に剥がすと痛みが出て、噛み癖が悪化したり、びらんが広がって治療が難しくなることがあります。
  • 安全寄りの方法は、「剥がす」ではなく「ふやかして落とす」です。温かい生理食塩水(またはぬるま湯)で数分湿布し、ふやけた範囲だけをやさしく拭き取るのが基本です。
  • その日に落ちない瘡蓋は無理をせず、短時間で終えることを優先します。噛み癖のある子ほど「今日は撤退」を上手に使う方が結果が良いです。

外用抗生物質は「点で・短期で」使うのがコツ(耐性菌が疑われるほど重要)

  • 外用抗生物質は、「全体に広く」より「感染が強い点に」使うのが基本です。
  • 使う部位は、膿疱/びらん/ジュクジュクしている点など、「明らかに感染っぽいところ」に絞ります。
  • 期間は短期で、目安としては数日〜1週間程度で反応を評価し、改善が見えたら漫然と続けないことが大切です。
  • 耐性菌が疑われるケースほど、培養・感受性の結果に合わせて最適化することが重要になります。

かゆみが強い時:アンテドラッグ(外用ステロイド)をどう扱う?

  • かゆみが強いと、掻く→壊す→感染が広がる、の悪循環になりやすく、「かゆみを止める」ことが感染対策になる場面があります。
  • 一方で、膿皮症が強いときにステロイドを広範囲に使うと、感染のコントロールが難しくなることがあるため、「どうしても掻き壊す点だけ」に最小限を基本にします。
  • 「塗りにくいから」といって、外用ステロイドを注射水・生食などで希釈してスプレー化する方法は、濃度や塗布量が不明確になりやすく、分離・汚染・飛散(目や口に入る)などのリスクがあるため、一般的にはおすすめしません。
  • 塗りにくい場合は、剤形の変更(塗りやすいローション/フォーム/スプレー等を処方で選ぶ)や、コットンで押し当てるなど、希釈ではなく“手技の工夫”で解決する方が安全です。

噛み癖がある子のための「続けられる処置デザイン」

  • 噛み癖がある子は、処置のたびに恐怖や痛みの記憶が強くなると、どんどん難しくなります。皮膚治療は「安全に触れる設計」が治療の一部です。
  • 1回の処置は30〜60秒で終えることを目標にします。全部を一度にやるより、局在部位をローテーションして負担を下げます。
  • 可能なら2人法(保定係と塗布係)を基本にし、必要に応じてバスケットマズルタオル保定を検討します。
  • 舐め・掻破を止めるために、服(術後服)やエリザベスカラーは治癒を早める大事な選択肢です。薬を塗ることだけが治療ではありません。

自宅ケアの「おすすめ順番」(局在タイプの現実解)

  • その日のターゲット部位を1〜2か所に絞る(全部やらない)
  • クロルヘキシジンのワイプ/スプレー/フォームで短時間ケア(こすらない)
  • 必要なら瘡蓋は湿布でふやかしてやさしく(無理はしない)
  • 外用抗生物質は感染が強い“点”だけに短期で(反応を見て調整)
  • かゆみで掻き壊す場合のみ、外用ステロイドは最小スポットで(広範囲や希釈スプレーは避ける)
  • 最後に服/エリカラで舐め・掻破を止め、処置後はご褒美で終える

受診の目安(早めに相談したいサイン)

皮膚が悪いときほど、家で頑張りたくなりますが、アジソン病・腎臓・心臓に配慮が必要な子では、皮膚治療がきっかけで全身状態が崩れることがあります。
次のような変化があれば、早めに動物病院へ相談してください。

  • シャンプーや処置の後にぐったりして立てない、反応が鈍い
  • 嘔吐・下痢・食欲低下が続く、脱水っぽい
  • 皮膚の悪臭・滲出・膿疱が増える、局在が広がってくる
  • 外用を頑張っても改善が乏しい(耐性菌や深在化の可能性があるため、検査・治療設計の見直しが必要です)

まとめ

  • シャンプーで崩れる子は「洗う治療」を主役にしない
  • 培養検査で方針を確定し、局所治療を最大化する
  • クロルヘキシジンなどのleave-on(洗い流さない)をベースに、局在部位をローテーション
  • 外用抗生物質は点で・短期で、ステロイドは最小スポット(希釈スプレーは避ける)
  • 噛み癖がある子ほど、短時間・安全・続けられる方法が最優先