診察時間
午前9:00-12:00
午後15:00-18:00
手術時間12:00-15:00
水曜・日曜午後休診
フレンチブルドックの乳腺腫瘍手術は、「腫瘍をしっかり取ること」だけでなく「呼吸を安全に守ること」が同じくらい大切です。
特に短頭種気道症候群(BOAS)が疑われる・または呼吸器症状がある場合、麻酔中だけでなく麻酔から覚めるタイミング(覚醒期)に呼吸が不安定になりやすいため、術式の選択や術後管理の考え方をあらかじめ共有しておくことが重要です。
この記事でお伝えすること
乳腺腫瘍(左第5乳腺)に対する領域乳腺切除(第3〜第5乳腺切除)の考え方、費用の目安、短頭種気道症候群(BOAS)に伴う麻酔・術後の呼吸リスクと対策、悪化時の追加選択肢(気管切開・軟口蓋切除)について、飼い主さまが文献なしでも理解できるように省略せず整理します。
犬の乳腺腫瘍は良性のこともあれば、悪性(がん)であることも少なくありません。腫瘍が大きくなるほど、出血や潰瘍、感染、痛み、周囲への広がり(局所再発)や転移のリスクが上がることがあります。
左第5乳腺に腫瘍がある場合、腫瘍だけを部分的に取るのではなく、関連する乳腺をまとめて切除する領域乳腺切除が選択されることがあります。今回の計画は第3〜第5乳腺切除です。
乳腺腫瘍はホルモンの影響を受けることがあり、状況によっては避妊手術を同時に検討します。避妊手術には卵巣のみ切除と、卵巣+子宮切除の選択肢があります。
重要:
子宮まで一緒に切除する場合は、卵巣のみの切除よりも手術範囲が広くなり、術後の疼痛が強くなる可能性があります。
その結果、痛みによる興奮や呼吸数増加が起こりやすく、短頭種では呼吸へのリスクが増すことがあります。
当院では、当日の呼吸状態・全身状態・麻酔からの回復状況を総合して、卵巣のみで終了する、今回は避妊手術を見送る、段階的に分けて実施するなど、安全性を優先して判断する場合があります。
以下は目安の概算です。状態・検査内容・処置内容・入院日数により前後する場合があります。
合計の目安
乳腺切除+卵巣のみ切除:220,000円
乳腺切除+卵巣・子宮切除:250,000円
フレンチブルドックは鼻先が短い体の構造のため、空気の通り道(鼻〜喉)が狭くなりやすく、呼吸が苦しくなりやすい特徴があります。これを短頭種気道症候群(BOAS)と呼びます。
麻酔や手術では、一定のリスクがゼロにはなりません。短頭種では特に以下に注意が必要です。
呼吸器症状があるため、当院ではベトルファールなどを用いて緊張や興奮を抑えつつ、必要に応じて酸素室で管理しながら経過を見ます。
麻酔中は気道確保と厳重モニターを行い、術後は覚醒期の呼吸悪化を防ぐための看護を強化します。
術後の入院・退院方針(緊張を減らすため)
短頭種では入院環境での緊張や興奮が呼吸悪化の引き金になることがあります。
そのため当院では、全身状態と呼吸状態が安定していることを確認できた場合には、翌日退院として、ご自宅で安静に過ごしていただく方針です。
退院後は、痛み・不安・興奮を抑えて呼吸を安定させる目的でベトルファールを処方します。
ただし重要:
「翌日退院予定」はあくまで予定であり、短頭種の術後経過については予断はできません。
状態によっては、鎮静が必要な時間が長くなる、入院延長が必要になる、追加の処置や治療が必要になるなど、計画を変更する場合があります。
当院は安全性を最優先に判断します。
酸素室とベトルファール等で経過を見ますが、万一呼吸状態が急激に悪化した場合、かつ人員が揃っていて速やかに実施できる状況で見つけられた場合には、以下の選択肢を検討します。
すべての麻酔・手術には一定のリスクがあります。主なものは以下です。