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会陰尿道瘻(Perineal Urethrostomy:PU)手術
は、主に雄猫で起こる「尿が出ない(尿道閉塞)」をくり返す場合に、将来の閉塞リスクを大きく減らすために行う外科治療です。
このページでは、飼い主さんが文献が手元になくても理解できるように、仕組み・適応・手術の流れ・入院と術後管理・合併症と注意点まで、
できるだけ省略せずにまとめます。
この記事の結論
PU手術は「結石ができないようにする手術」ではなく、
詰まりやすい細い部分の尿道を避けて、太い尿道を新しい出口として作り直す手術です。
そのため、術後も体質管理(食事・水分・環境・定期チェック)は重要ですが、
くり返す尿道閉塞で苦しむ猫ちゃんの生活の質を大きく改善できることがあります。
雄猫は、尿の通り道である尿道が細く長い体の構造をしています。
そのため、尿の中の結晶や砂のような成分、炎症による腫れ、粘液状の物質、血餅、尿道けいれんなどが重なると、
尿道の中で「栓」のようになって尿が流れなくなることがあります。
尿が出ない状態が続くと、膀胱が過度に拡張して強い痛みが出るだけでなく、
体内に老廃物がたまり、電解質異常(特に高カリウム血症)などを起こして
命に関わる緊急疾患になります。
「今日は少し出ている気がする」「様子を見れば治るかも」と迷う前に、早めの受診が大切です。
PU手術の目的は、尿が詰まりやすい「細い尿道の先端部分」を避けて、
より太い尿道を新しい出口として作り直すことです。
具体的には、お尻の下(肛門の下の会陰部)に新しい尿の出口を作り、
尿の通り道を「太く・短く」します。
大事なポイント
PU手術は「結石や結晶を作らない体にする手術」ではありません。
体質や食事、水分摂取量、ストレス、膀胱炎の起こりやすさが残れば、結晶や膀胱炎は起こりえます。
ただし、尿道の「詰まりやすさ」は大きく下げられるため、尿道閉塞をくり返す猫ちゃんにとって重要な選択肢になります。
PU手術は、基本的に「すべての尿道閉塞の猫ちゃんに最初から行う手術」ではありません。
まずは内科治療やカテーテルによる解除で回復できるケースも多いからです。
ただし、次のような状況では、再発リスクや安全性の観点から手術を検討します。
具体的に「手術が最適かどうか」は、猫ちゃんの状態、閉塞の原因、既往歴、尿検査や画像検査の結果、
そしてご家庭のケア体制などを総合して判断します。
尿道閉塞は、体内に老廃物がたまりやすく、電解質の異常を伴うことがあります。
そのため、手術の前には「麻酔が安全にかけられる状態か」「まず緊急対応が必要か」を丁寧に確認します。
状態によっては、先に点滴治療で全身を安定させ、尿を抜く処置を優先してから、手術に進むことがあります。
「いつ手術をするのが最も安全か」も含めて計画します。
PU手術は全身麻酔下で行います。
手術は繊細で、出血や感染、縫合部のトラブルを防ぐために、丁寧な操作が必要です。
大まかな流れは次の通りです。
手術時間は状態や解剖学的条件、過去の炎症や瘢痕の程度で変わりますが、目安としては1〜2時間程度になることが多いです。
麻酔時間や入院期間は、術前の体調や合併症の有無で調整します。
術後は、尿の出方、出血の程度、痛み、感染兆候がないかを観察するため、数日間の入院が必要になることが多いです。
手術直後は尿に血が混じることがありますが、時間とともに落ち着くことが一般的です。
よくある術後の見た目
尿に血が混じる/尿が出る時に少し力む/尿が飛び散りやすい/会陰部が湿りやすい、などが見られることがあります。
多くは経過とともに安定しますが、症状が強い場合は早めに病院へ相談してください。
退院後は、縫合部を守り、感染や狭窄などの合併症を早期に見つけることが大切です。
とくに最初の1〜2週間は、猫ちゃんの行動制限と衛生管理が重要になります。
PU手術後も、膀胱炎や結晶の体質が残っていれば、尿のトラブルは起こりえます。
ただし、尿道閉塞という「命に関わる詰まり」を避けられる可能性が高くなることが大きなメリットです。
術後の体質管理で特に大切なのは、
尿を薄める(水分を増やす)ことと、猫ちゃんの状態に合った食事管理です。
飲水を促すために、水飲み場を増やす、器を変える、循環式の給水器を使う、ウェットフードを取り入れるなど、
その子に合う方法を一緒に探していきます。
どんな手術にもリスクはあります。PU手術で特に知っておきたい合併症は次の通りです。
ただし、早期発見・早期対応で重症化を防げることも多いため、「サインを知っておく」ことが大切です。
会陰尿道瘻手術は、尿が詰まりやすい雄猫にとって、将来の尿道閉塞を減らすための大切な手術です。
「結石や結晶がゼロになる」わけではないため、術後も食事・水分・環境づくりは続きます。
それでも、くり返す閉塞で苦しむ猫ちゃんにとって、緊急受診や入院を減らし、
日常を取り戻す大きな助けになることがあります。
手術が最適かどうかは、病歴や検査結果、再発の頻度、体調、そしてご家庭の状況を総合して判断します。
不安な点は遠慮なくご相談ください。猫ちゃんにとって最も安全で、負担の少ない方法を一緒に考えていきましょう。