診察時間
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手術時間12:00-15:00
水曜・日曜午後休診
保険会社からの電話照会と当院の対応方針について
― 医学的判断の正確性と個人情報保護の観点から ―
近年、動物医療の現場では、保険会社様から電話による診療内容確認のご連絡が増えています。
その多くは、動物病院から提出される正式な診療書面ではなく、電話で得られる限られた情報をもとに、保険金支払いの可否を判断するという形で行われています。
しかし、このような運用の中で、医学的に本来区別されるべき病態が十分に理解されないまま判断がなされ、
結果として保険金支払いが見送られてしまう事例が、実際の臨床現場で発生しています。
保険会社側の判断では、「同一部位の疾患であるかどうか」が重視されることが少なくありません。
そのため、発症様式や治療内容が全く異なる疾患であっても、同一部位という理由だけで同一疾患として扱われてしまうケースが見受けられます。
たとえば消化器疾患において、
・誰もが一時的に発症し得る急性疾患
(食あたりによる下痢、一過性の胃腸炎など)
・ステロイドやシクロスポリンなどの免疫抑制剤を継続投与しなければ、生命維持が困難となる慢性疾患
これらは、発症の背景、治療の目的、治療期間、予後のいずれも全く異なる病態です。
しかし電話での確認においては、
「消化管の病気である」
「過去にも同じ部位の症状があった可能性がある」
といった点が強調され、急性疾患と慢性疾患の医学的な違いが十分に考慮されないまま、同一視されることがあります。
その結果、先に発症した急性疾患が慢性疾患と同一視され、その後に生じたすべての消化管疾患について補償対象外と判断されてしまう事態が生じています。
診療内容の正確な理解には、
問診内容、身体検査所見、検査結果、治療の経過および目的といった情報を総合的に評価する必要があります。
電話による確認は、診療に直接携わった獣医師間での情報共有とは性質が異なり、
診療の前後関係や治療意図といった医学的背景を正確に共有することが難しい
という限界があります。
そのため、口頭でのやり取りのみを前提とした判断は、
診療の実態を十分に反映しない結果につながる可能性があります。
また昨日、保険会社様より、
顧客情報の一部が第三者によるサイバー攻撃により流出した可能性がある
との書面を受け取りました。
なお、この情報流出に関する通知を受け取った保険会社と、
前述の消化管疾患に関する保険判断の事例の保険会社は、
それぞれ別の会社です。
本記事で示す当院の方針は、特定の一社に対するものではなく、
医学的判断の正確性および個人情報保護の観点から、総合的に検討した結果として定めたものです。
動物病院が保有する診療情報は、
飼い主様の大切な個人情報であると同時に、高度な医療情報でもあります。
その取り扱いには、最大限の慎重さが求められます。
当院の役割は、
保険金支払いの判断を行うことではなく、動物の状態を正確に診断し、最善の医療を提供することです。
医学的判断や個人情報が、
電話という限られた手段や、不十分な情報管理のもとで扱われることは、
最終的に不利益を被るのは飼い主様と動物たちです。
正確な医療情報の共有と個人情報保護のため、
当院の対応方針につきまして、ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
なお、飼い主様におかれましては、書面でのご依頼やお手続きが増えることでご負担をおかけしてしまう場合もあるかと存じますが、
これは皆さまの大切な個人情報および医療情報を守ることを最優先に考えた対応であることをご理解いただけますと幸いです。