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前十字靭帯断裂やパテラの脱臼で変形が進んだ骨に行う手術【lateral suture】

わんちゃんが「時々後肢を上げる」様子がある場合、膝の中にある前十字靱帯(ACL)が部分的または完全に切れていないかのチェックをおすすめしています。部分断裂から完全断裂に進むと、膝内部のクッション役である半月板も損傷し、非常に強い痛みを生じることがあります。

前十字靱帯の役割(やさしい解説)


前十字靱帯は大腿骨脛骨を結ぶ重要な靱帯で、脛骨が内側へ向く(内旋)ことを防ぐ前方へずれる(前方不安定)ことを防ぐといった安定化の役割を担っています。鎮痛剤で一時的に痛みが和らぐことはありますが、不安定な膝のまま生活を続けると、反対側の前十字靱帯も断裂へ進行するリスクが上がります。

診断のポイント:ドロワーサイン

前十字靱帯が断裂していると、大腿骨と脛骨が前後にずれる「ドロワーサイン」が確認されます。診察では徒手検査や画像検査を組み合わせて評価します。

手術動画🎥⏯️

関節外法(lateral suture)の基本手技

手術では大腿骨外側の種子骨に強めの太い糸をかけ、脛骨の一番手前にある脛骨粗面に穴を開けて、種子骨と脛骨粗面の穴を糸で連結・固定します。

種子骨へ糸をかけている

種子骨へ糸をかけている写真

手術動画🎥⏯️

脛骨粗面への穴の作成

脛骨粗面へのドリリング

糸を結紮

糸の結紮


術式イメージ図1


脛骨を外側に捻るように固定する方法(適応の考え方)

  • 粗面の向きは悪くないが内旋が問題となっているとき(グレードⅠ〜Ⅱ)に使用。

脛骨粗面転移(TTT) vs lateral suture(選択の指針)

  • 同じグレードⅢでも、脛骨粗面の向き正面内旋かで対応が異なる。
  • 脛骨粗面が内側に向いている脛骨粗面転移(TTT)を選択。
  • 脛骨粗面が内側を向いていないlateral sutureを選択。
  • ※アライメントが崩れている骨にlateral sutureを行うと、脛骨が外側を向いた際に趾端がより外側へ向いてしまうリスクがあります。
  • 大腿骨・滑車溝・膝蓋骨・足根のアライメントが一直線に揃うよう配置することが重要。

術式イメージ図2


ピンの本数・位置・太さと刺入方向(TTTの実務メモ)

  • 大腿骨・滑車溝・膝蓋骨・足根のアライメントを揃える。
  • ピンは2本以上入れる。
  • ピンはなるべく近位に配置する。
  • ピンは対側皮質骨に接する〜少し抜けるくらいが目安。
  • 🌸1〜2kg0.8mm
  • 🌸3〜4kg1.0mm
  • 🌸5kg〜1.0〜1.2mm
  • 🌸外側には前脛骨筋が付着→ピンは粗面トップから内側〜正面に向けて挿入。

術式イメージ図3


内科管理と術後管理の考え方

  • 膝を痛めた後、1週間で歩き出している子内科的に経過観察とすることが多い。
  • 術後のロバート・ジョーンズ包帯膝の浮腫を引かせる/膝の屈曲を防ぐ目的。
  • 1ヶ月で線維化が進むため、それ以降は糸の若干の緩みがあっても許容されることがある。

器具メモ:推奨の縫合針

🌷米地先生おすすめ:SECUROUS社製の前十字靱帯修復用縫合針 ◯

  • :バーニーズ
  • :ラブラドール
  • :しば犬
  • ミニ:5kg以下
  • セット:5本セット or 大中小2本ずつのセット
  • 使用目安1本あたり20〜30頭

手術時の注意点(関節外法)

  • 関節内部で使うメスは皮膚のものと変更(🌾皮膚細菌が関節内へ入らないように)。
  • Lateral sutureの糸は7回結紮、結紮玉は皮下に隠す
  • 脛骨粗面のツイストドリル部は、近位すぎると力がかかりにくい?点に留意。

関節外法の適応上の注意

  • クッシング病
  • 副腎皮質ホルモン剤の常用(例:アジソン治療中など)
  • 多発性関節炎(ACLは切れていても異物(糸)を入れるのは避ける
  • あまりにもTPAが立っている症例

結紮角度のコツ

  • 糸を結紮する角度は、ドロワーが最も出る角度1本(50%)を締結。
  • 残りの50%完全伸展位で締結。