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愛猫の命を守る「正しい処方食」の選び方。獣医の私が市販のおやつを厳しく止めるワケ

【獣医師の警告】幾多の死線を越えた愛猫。良かれと思った「おやつ」が命を奪う厳しすぎる現実

今日は、当院でずっと治療とケアを頑張っている、ある猫ちゃんとご家族の壮絶な闘病の記録と、絶対に知っておいていただきたい「食事選びの厳しい現実」についてお話しします。


※医療現場からの大切なお知らせです

突然奪われた下半身の自由と、繰り返される命の危機

  • ある夜のこと、その猫ちゃんは突然下半身が麻痺し、動けなくなってしまいました。検査の結果、疑われたのは「急性脊髄梗塞」。痛みを感じる感覚(深部痛覚)すら失われ、自力で排尿や排便をすることもできなくなってしまったのです。
  • そこから、ご自宅での懸命な介護生活が始まりました。自力で排尿ができない上、この子は雄猫であるため尿道が細く長く、手術をするまでは毎日カテーテルを入れておしっこを抜く日々が続きました。
  • さらに追い打ちをかけるように「糖尿病」も発症し、インスリン注射が日課に加わりましたが、ご家族の必死のケアの甲斐あって、奇跡的に糖尿病は寛解(お薬がいらない状態)まで回復しました。
  • しかし、試練は続きます。ある日、いつものように尿を抜こうとしても、細い尿道にカテーテルが引っかかってどうしても入らなくなってしまったのです。絶望的な状況の中、最終手段として尿の通り道を外科的に広げる「会陰尿道瘻増瘻術」という手術を決断し、なんとか命をつなぎ止めました。現在は、ご家族が圧迫排尿のケアを続けながら、細菌性膀胱炎のコントロールを懸命に続けています。

「市販の下部尿路疾患用のおやつ、あげてもいいですか?」

  • 数え切れないほどの壁を乗り越えてきたある日の診察で、ご家族からこんなご質問をいただきました。
  • 「ちゅーる(下部尿路疾患用)をあげても良いでしょうか?」
  • これだけ頑張って生き抜いている愛猫に、美味しいおやつを食べさせてあげたい。その優しさは痛いほど伝わってきました。しかし、私は獣医師として、ご家族が死に物狂いで繋いだ命を守るため、非常に厳しい現実を突きつけなければなりませんでした。
  • 結論から言えば、今の状態のこの子には絶対に与えるべきではありません。

処方食選びに潜む「命の危険」と「獣医師監修」の裏側

  • 病気を抱える子、特に結石や尿路疾患を持つ子の食事を選ぶ際は、「その背景にどのような人物が、どのような規模のデータで監修しているか」を厳格にチェックしなければなりません。
  • 「下部尿路疾患用」とパッケージに書かれていても、実験データ(n数)が極めて少なかったり、一般の開業医がアドバイザーとして名を連ねているだけのものも存在します。
  • 実は、ここで皆様に知っておいていただきたい恐ろしい現実があります。こんな小さな規模の病院の一開業医にすぎない私のところへすら、「サプリメントや処方フードの監修アドバイザーになりませんか?」という企業の営業がかかってくるのです。「獣医師監修」という言葉は、その気になればいくらでも作れてしまうのが実態です。
  • そういったエビデンスの乏しいものを安易に与えてしまうと、後々結石ができたり、感染症が腎臓にまで波及して、最悪の場合は命を落とします。具体的には、以下のような取り返しのつかない事態を引き起こします。
  • 早期の腎盂腎炎の発症: 影響は想像以上に早く出ます。早ければ、たった1年ほどで命に関わる「腎盂腎炎」になってしまう子もいます。
  • 手術部位の閉塞と「腹壁尿道瘻」への悪化: この猫ちゃんのように、せっかく手術で拡張した会陰尿道瘻(尿の出口)が、新しくできた結石によって詰まってしまうケースがあります。そうなると、お腹に直接尿の出口を作る「腹壁尿道瘻」という、さらに過酷な状態を余儀なくされます。
  • 細菌混入リスクの爆発的な増加: 腹壁尿道瘻になれば、外部からの細菌混入のリスクがさらに跳ね上がり、常に命の危機と隣り合わせになります。

飼い主が守るべき「命をつなぐ食事のルール」

  • 美味しいおやつを一口与えるという行為が、引き金となって致命的な合併症を引き起こします。
  • だからこそ、「きちんと証明がなされたごはん」を選ぶことが絶対条件なのです。例えば、世界規模の実験頭数で証明されているロイヤルカナンや、大学の消化器外科の教授が監修しているドクターズケアのような、明確な科学的根拠が証明されているフードを選ぶ必要があります。
  • 厳しい現実を包み隠さずお話ししたところ、ご家族は深く納得され、「教えてもらえてよかった」と言っていただけました。
  • 愛猫の命を守れるのは、飼い主さんの「正しい選択」だけです。良かれと思った自己判断が最悪の結果を招かないよう、食事やサプリメントを追加したい場合は、必ずかかりつけの獣医師の指示を厳守してください。

Summary in English

  • A beloved male cat who miraculously recovered from acute spinal cord infarction and diabetes faced life-threatening urinary tract complications. His family fought desperately, saving him through a perineal urethrostomy, but his condition remains delicate.
  • When asked if it was okay to feed commercial “urinary care” treats, I had to give a strict warning. Many “vet-supervised” products lack clinical data. Even small independent clinics like mine receive casual offers to become “supervisors,” proving the label can easily be fabricated.
  • Feeding foods with weak evidence can lead to fatal pyelonephritis or cause new stones that block the surgically widened urethra. To protect your pet’s life, please rely exclusively on scientifically proven prescription diets (e.g., Royal Canin or those supervised by university specialists).

中文摘要

一只患有急性脊髓梗死并奇迹般从糖尿病中康复的雄性猫咪,正面临着致命的泌尿道并发症。在家人的拼死护理下,他通过会阴尿道造口术保住了性命,但目前的状况依然需要格外小心。

当家人询问是否可以喂食市面上的“下泌尿道护理”零食时,我必须给出严厉的警告。许多标榜“兽医监制”的产品其实缺乏坚实的临床数据支持。甚至像我这样的一般开业兽医,也会随意收到企业发来的“挂名监制”邀请。

喂食这些缺乏科学依据的产品,极易导致致命的肾盂肾炎,或者因为新生成的结石堵塞好不容易扩张的尿道,从而引发更惨痛的后果。为了保护爱猫的生命,请务必只选择具有明确科学依据和经过大规模临床验证的处方粮。