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犬の呼吸性不整脈

犬の呼吸性不整脈(Respiratory Sinus Arrhythmia:RSA)は、呼吸に合わせて心拍の間隔が自然に変動する生理的なリズムです。
「不整脈」という言葉がつくため心配されがちですが、犬ではとてもよく見られる正常の範囲であることが多く、特に安静時に目立ちます。

ポイント
呼吸性不整脈は「心臓が壊れているサイン」というより、副交感神経(迷走神経)がよく働いている=リラックスした状態で見られやすい生理現象です。

呼吸性不整脈って、具体的にどういうこと?

呼吸性不整脈は、呼吸のリズムに合わせて心拍数(正確には心拍の間隔)がゆらぐ現象です。典型的には、次のような変化が起こります。

  • 吸うとき(吸気):心拍が少し速くなる(心拍間隔が短くなる)
  • 吐くとき(呼気):心拍が少しゆっくりになる(心拍間隔が長くなる)
  • これが呼吸の周期に同期して繰り返されます

なぜ起こるの?(しくみ)
心臓のリズムは自律神経の影響を強く受けています。呼吸性不整脈は主に迷走神経(副交感神経)の働きによって起こり、
呼気で迷走神経の影響が強まり徐脈に、吸気で影響が弱まり頻脈になりやすい、と理解するとイメージしやすいです。

どんな犬でよく見られる?

呼吸性不整脈は「出ること自体が異常」ではありません。特に次のような状況・タイプでよく見られます。

  • 若い犬
  • 小型犬(個体差はあります)
  • 安静時・睡眠中、リラックスしているとき
  • 診察室でも、落ち着いている犬では聴診で気づきやすい

覚えておきたいこと
興奮したり、運動したり、痛みや発熱があったりすると、交感神経優位になって呼吸性不整脈が目立たなくなる/消えることがあります。
つまり「さっきは不規則だったのに、今は規則的」という変化も、状況によっては自然です。

聴診でどう聞こえる?(飼い主さんが気づくポイント)

聴診では、心拍が「ときどき間隔が伸びたり縮んだり」して不規則に聞こえます。ただし、呼吸性不整脈には特徴があります。

  • 心拍の不規則さが呼吸のタイミングと一致している
  • 多くの場合、吐くときにゆっくり吸うときに速くなる
  • 安静時に目立ちやすく、興奮すると目立ちにくくなることがある

心電図ではどう見える?(専門的に少しだけ)

心電図(ECG)で確認すると、呼吸性不整脈は洞性調律(正常な指令系)を保ったまま、心拍間隔が周期的に変動していることが分かります。

  • P波の形は一定(正常な洞結節由来の拍動が続く)
  • R–R間隔が呼吸に合わせて周期的に変動する
  • 「完全にバラバラ」ではなく、呼吸のリズムに沿ったゆらぎとして現れる

写真や心電図画像を入れたい場合
ここに心電図のスクリーンショットや模式図を入れると、理解がさらに深まります。後から差し替えしやすいように、画像枠を用意しています。

画像をここに追加
(WordPressの画像ブロックをこの位置に入れる/または下のimgタグのsrcを書き換える)


「病的な不整脈」との見分け方が大事

呼吸性不整脈は多くが生理的ですが、「不整脈」という言葉通り、似たように不規則に聞こえる病的な不整脈も存在します。
そこで大切なのが、「呼吸と一致しているか」「症状があるか」という視点です。

  • 呼吸と同期している不規則さは、呼吸性不整脈を強く疑います
  • 一方で、呼吸と無関係にバラつく場合は、他の不整脈も鑑別に入ります
  • 興奮や運動で目立ちにくくなるのは呼吸性不整脈の特徴のひとつです(ただし例外もあります)
  • 心電図では、呼吸性不整脈はP波が保たれた洞性調律のまま、間隔が呼吸性に揺れます

ここは注意
「呼吸と関係ない不規則さ」や、「不規則さに加えて体調の変化(失神、ぐったり、運動を嫌がるなど)」があるときは、
呼吸性不整脈だけでなく、洞停止・房室ブロック・期外収縮など別の不整脈も含めて評価が必要になります。

こんな場合は検査や追加評価をおすすめします

呼吸性不整脈そのものは生理的でも、次のような状況では「たまたま一緒に見つかった別の問題」が隠れていないかを確認するために、
心電図・胸部レントゲン・心エコーなどの検査を組み合わせて評価します。

  • 高齢犬で、これまで言われたことがなかったのに最近になって指摘された
  • 失神、ふらつき、急に力が抜ける、虚脱などのエピソードがある
  • 運動不耐性(散歩を嫌がる、すぐ座る、息が上がりやすい)
  • 、呼吸が苦しそう、呼吸数が多い状態が続く
  • 既に心臓病(例:僧帽弁閉鎖不全症など)の診断がある
  • 心電図で洞停止房室ブロックなどを疑う所見がある

まとめ

  • 犬の呼吸性不整脈は、呼吸に合わせて心拍がゆらぐ生理的な現象で、正常の範囲で見られることが多いです。
  • 主に迷走神経(副交感神経)の影響で、リラックスしているときに目立ちます。
  • 聴診や心電図で「不規則」に見えても、呼吸と同期しているかが大きなヒントになります。
  • ただし、症状がある場合や、呼吸と無関係な不規則さがある場合は、別の不整脈や心疾患の可能性も含めて評価が必要です。

よくあるご質問
「不整脈と言われたけれど大丈夫?」「検査は必要?」など、状況によって答えが変わります。気になる症状がある場合は、診察時に動画(呼吸の様子)や日頃のメモを持参すると評価がスムーズです。