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瞼のできもの:免疫介在性眼瞼炎の症例報告

眼瞼の内側にはマイボーム腺と呼ばれる油分を分泌する腺があります。
瞼の病気が長引くと、目の痛みや痒みだけではなく、将来、ドライアイに発展し、角膜が傷つきやすくなるなどのトラブルを抱えることになります。

①感染によるできもの(ものもらい)

皮膚表面のブドウ球菌が感染し、広がることにより瞼が腫れたり、できものができることがあります。
最近は耐性菌MRSAの問題もあるため、試験的な抗生物質投与と一緒に、初期に感受性検査が行える症例(破裂を起こして膿している場合はスワブでの採材が可能)では培養同定も行います。
表面から膿が出ていない場合には、第3世代のセフェム系抗生物質で試験的に治療を開始します。
3-7日で病変の良化があれば感染によるものなので治療は終了になります。

②腫瘍

代表的な眼瞼の腫瘍はマイボーム腺腫(良性)とマイボーム腺癌(悪性)があります。感染に対する治療を試験的に行い、症状が良くならなければ、切除生検(病変を辺縁で切除する)を行い、病理検査で腫瘍の同定、マージンの評価を行います。

③免疫性眼瞼炎

体内の過剰な免疫システムがマイボーム腺を破壊することによって起こります。
病理検査にて炎症と証明されることと、培養検査にて、感染がないことのセットの評価が必要です。
治療は初期ステロイド、長期治療はシクロスポリン
犬にステロイドを投薬するときは、多飲多尿、肝臓腎臓への負荷、医原性クッシング(副腎が萎縮して、アジソン症状(脱水やショック)を引き起こす)、血栓ができやすくなる、糖尿病へのリスク増すなどの副作用があるため、2週間以上の投薬はなるべく避けるようにしています。
シクロスポリンは効果が出るまで2週間から4週間程度を要するので、重ねて投薬を行います。血中濃度を計り、ステロイドのカットを行っていきます。
シクロスポリンの副作用は嘔吐、稀に歯肉増生することがあり、嘔吐防止のため、食間に投薬します。
他の代表的な免疫抑制剤アザチオプリンは抗がん剤の一種で、骨髄抑制や肝障害などの重度な副作用を引き起こすため、当院では推奨していません。
加えてドライアイに対する治療のヒアレインや人工涙液の点眼も勧めています。
ステロイドの点眼液を使用する場合には、角膜を薄くして、角膜潰瘍を引き起こすことがあるので、長期の使用は勧めていません。

手術方法

腫瘍の切除、縫合により、上下の眼瞼の長さが変わり、目が小さくなる場合には、外眼角切開(人の目尻切開と同様の手術)または皮弁術を行い、目を大きくします。目の淵が黒い色素の犬種は、切開部の色素が脱落します。

術後の経過

顔面の手術は術後炎症で腫れるが、1週間から2週間程で炎症が引き目の大きさも戻ることが多いです。(人の整形外科のダウンタイムと似ている。)この間、かかないようにエリザベスカラーをつけてもらいます。器用にタオルやソファに顔をこすりつける子もいるので注意してもらいます。

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