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肉芽腫性脂肪織炎🐶無菌性脂肪織炎🦠

無菌性脂肪織炎と肉芽腫性脂肪織炎の理解

 

無菌性脂肪織炎とは、免疫システムが自己の組織を誤って攻撃して炎症を引き起こす自己免疫疾患です。肉芽腫性脂肪織炎は、特定の炎症反応によって組織内に肉芽腫が形成される状態を指します。これらの状態は、病理検査によって確定診断が行われることが一般的です。

 


 

病理検査では、脂肪織炎や肉芽腫性炎と診断されることが多く、追加で細菌培養同定検査を行うことが推奨されます。これにより、細菌が原因でないことが確認されれば、自己免疫抑制剤の使用を検討することになります。

 

診断と治療のアプローチ

細胞診により、脂肪、マクロファージ、炎症が確認されると、脂肪腫や脂肪肉腫、肉芽腫、肥満細胞腫など多様な腫瘍が原因である可能性があります。これらの腫瘍の鑑別診断が必要になります。

 


抗生剤の使用については、耐性化のリスクを考慮して慎重に行われるべきです。ビクタスやバイトリルなどの長期使用は、耐性菌の発生を助長し、将来的にこれらの薬剤が効かなくなる可能性があります。したがって、抗生剤は短期間での使用が推奨され、必要に応じて培養同定検査を行いながら適切な薬剤を選択します。

 

免疫抑制剤の適切な使用と管理

免疫抑制剤の過剰な使用は白血球を減少させ、感染症のリスクを高めるため、投与量の調節が必要です。特に腹腔内に肉芽腫が形成されると、腎臓や肝臓を含む多臓器不全に陥るリスクがあります。そのため、CRPなどの炎症マーカーを血液検査で定期的にチェックすることが重要です。

腫瘍体質の子も、免疫力を低下させることで、潜在的な腫瘍を排除することができなくなるため、免疫抑制剤の使用には注意が必要です。

ご自宅での管理としては、体温を定期的に測定し、平熱より1℃上がった場合は速やかに受診を検討することが推奨されます。また、シクロスポリンなどの安全性が高い免疫抑制剤の使用が勧められます。

 

免疫疾患の持続的ケア

免疫疾患の治療は、通常、長期にわたる管理が必要です。完治は難しいため、症状の管理と寛解の維持が治療の主な目的となります。適切な投薬量で副作用を最小限に抑えながら、症状の安定を図ることが重要です。

新しいジェネリック薬品の導入や、個人輸入の利用可能性が高まっている現在、治療費の節約とともに、より多くの治療選択肢が提供されるようになっています。このため、定期的な相談を通じて、最適な治療プランの更新をサポートしたいと考えています。

 

 

 

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無菌性結節性脂肪織炎(Sterile Nodular Panniculitis)について

疾患の概要
ミニチュア・ダックスフンドなど特定の犬種に好発することが知られています。原因としては、感染、外傷、異物の侵入、注射後の反応、薬剤反応、昆虫咬傷、腫瘍などが考えられますが、多くの場合、発症要因は特定できません。


診断方法
症状としては、皮下に硬い結節が形成され、これが痛みや熱感を伴うことがあります。結節は自壊して黄色や血様の排膿を示すこともあります。診断には細胞診が用いられ、非変性好中球や泡沫を含むマクロファージが確認される一方で、細菌や真菌は見られません。

膵炎や多発性関節炎など他の併発症の有無を評価することが重要です。


治療方法
この疾患の治療には免疫抑制薬が中心となります。具体的には、

プレドニゾロンを初期投与量として2~3mg/kg/日、

シクロスポリンを5~10mg/kg/日、

ビタミンE製剤(トコフェロール酢酸エステル)を50mg/kg/日として投与します。これらの薬剤は、症状の改善を見ながら調整が必要です。


維持管理と予後

単発病変の外科的治療を受けた場合、一般的に予後は良好です。

しかし、多発性病変の場合や長期間免疫抑制治療が必要な症例では、適切な管理と定期的なモニタリングが求められます。


無菌性結節性脂肪織炎の治療と維持管理

治療の進行と薬剤の調整

全身状態の改善が見られ、触診で病変が消失し、CRP値の低下が確認できた場合には、プレドニゾロンの投与量を徐々に減らしていきます。特に、初期の治療反応が良好であった場合、寛解に至るまでの間、定期的に投与量を評価し、25%ずつ削減していくことが推奨されます。治療が長期にわたる場合、副作用が最小限に抑えられる用量まで調整することが重要です。

具体的な処方と投与例

• 単発病変が小さい場合は、トリアムシノロンアセトニド(ケナコルト-A注)を0.025~0.05mL、病変部に局注します。
• プレドニゾロン投薬中は、十二指腸潰瘍の予防のために、ファモチジン0.5〜1mg/kgを併用することがあります。


長期維持管理と予後

症状が安定した後、長期的な管理が必要です。プレドニゾロンは寛解維持のために0.25mgを2日に1回のペースで経口投与し、シクロスポリンは週2~3回の投与を継続します。

症状が再発しないか定期的にチェックし、問題がなければ薬剤の休薬を試みることができます。


予後

• 全層生検を含む外科的切除が行われた単発病変では、通常、予後が良好です。
• 多発性病変や膵炎を併発する場合、これらの条件が管理されることで、治療なしに改善する可能性があります。
• 長期にわたる免疫抑制療法が必要な症例では、約65%の確率で長期治療が行われ、適切な情報提供と患者のフォローアップが重要です。