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肺の腫瘍🫁

ペットの肺腫瘍について

肺腫瘍は犬においては稀であり、猫においてはさらにまれです。発生した肺腫瘍の多くは転移性であり、リンパ節に転移が見られた場合、平均生存期間(MST)は1〜3ヶ月と短くなります。

腫瘍が副葉に位置する場合、食道、後大静脈、横隔神経に浸潤しているため、手術による切除は困難です。腺癌は比較的予後が良好ですが、扁平上皮癌や組織球系肉腫は予後が悪いとされています。原発性肺腫瘍が5cm未満であれば、根治が可能な場合もあります。

診断と治療

肺葉硬化型の原発性肺腫瘍は、レントゲン画像で肺炎と類似した所見が見られ、後葉に多く発生します。これらは抗生剤に反応しないため、エコーと細針吸引(FNA)による確認が必要です。

犬の場合、腺癌、扁平上皮癌、腺扁平上皮癌、組織球性肉腫などがあり、予後は腫瘤のステージング、転移の有無、病理組織型、分化度、腫瘤の大きさや位置によって大きく左右されます。咳は腫瘤が大きくなり気管を圧迫するまで発生しません。

猫における肺腫瘍

猫における原発性肺腫瘍は、犬に比べて攻撃性が高く予後が不良です。外科的切除が難しく、扁平上皮癌が最も一般的で、全肺腫瘍の80%から90%を占めます。その他に腺扁平上皮癌、リンパ腫、組織球性肉腫などが見られます。

アメリカンショートヘア種は、間質性肺疾患から発展するリスクが8.4倍とされ、高い遠隔転移率を持っています。肺腫瘍は一般的に多発性結節や粟粒性の形を取り、画像診断では様々な所見が見られます。

犬猫の肺腫瘍における臨床的特徴

犬の肺腫瘍では血行性やリンパ行性の浸潤や肺胞内で進展する確率が34.6%、支配リンパ節への転移が13.5%、遠隔転移が23.1%と報告されています。猫では転移率が75%から80%に達し、気管支リンパ節や胸腔内外への転移が一般的です。特に猫では、肺腫瘍が原因で異常な組織に腫瘤が検出される場合があり、その診断と治療は極めて困難です。

ペットの肺腫瘍と猫の肺指症候群(FLDS)の理解

診断の際、レントゲンで見られる肺葉硬化型の腫瘍は肺炎と似た画像を示し、抗生剤には反応しません。これにはエコー検査と細針吸引(FNA)が必要です。犬の腫瘍は腺癌、扁平上皮癌、腺扁平上皮癌、組織球性肉腫などがあり、その予後は腫瘤のステージ、転移の有無、病理組織型、分化度、腫瘤の大きさや位置に依存します。

肺指症候群(FLDS)は、肺腫瘍が原因で引き起こされ、特に肢端に異常が見られる疾患です。これは肺腫瘍の一部が血流に乗って体の他の部位に達し、肢端で微小血管を塞ぐことにより発生します。FLDSの治療には、肺腫瘍に対するアプローチが必要で、手術、化学療法、放射線療法が補助的に用いられます。症状の管理と生活の質の向上に焦点を当てた治療が進められています。

腫瘍随伴症候群と肺腫瘍の基本

腫瘍随伴症候群には、G-CSFによる好中球の増加や高Ca血症が含まれます。これは腫瘍が炎症によって隠される場合があるため、PTH-rpの関与が示唆されます。原発性肺腫瘍はほとんどが悪性であり、特に肺原発肉腫は稀ですが、大きな孤立性の結節が特徴的です。

複数の腫瘤が存在しても特定の一つが大きくなる傾向にあります。肥大性骨症は、特に肺腺癌、気管支腺癌、気管支肺胞腺癌、肺胞癌などに見られます。猫では、これらの肺腫瘍の予後は非常に不良であり、特に後葉に多く見られます。

治療方法と予後

ビレノルビンの使用では、30%の病気進行率が報告されており、治療開始から7日目にはDLT(致命的な副作用)として好中球減少が見られますが、14日目には回復することが多いです。メトロノミック療法も同様の成績を示しますが、カルボプラチンやパラディアによる治療は肺腫瘍に対しては効果が薄いとされています。

肺腫瘍がリンパ節に転移している場合、完全肺葉切除後の2年生存率は犬で50%と報告されていますが、猫では生存期間が短くなります。術後化学療法としてビレノルビンを使用した場合、ステージ1では平均生存期間(MST)が600日、ステージ2では60日となります。

原発性肺腫瘍の診断と画像診断技術

原発性肺腫瘍の診断には、経胸壁細胞診や気管支鏡検査(組織採材、ブラシ生検)、気管支洗浄(気管支肺胞洗浄)などが行われます。これにより細胞診が可能です。エコー検査では、胸膜とずれて動くことで腫瘍と判断されます。

CT検査では、麻酔下で肺野が虚脱評価が可能であり、1mm以下の結節も確認ができます。術前の評価として、心基底部付近では造影剤を使用して肺動静脈、気管気管支との関係性を評価します。このような高度なイメージング技術により、肺腫瘍の正確な診断が可能になります。

猫における肺腫瘍の診断と治療

猫では、気管気管支腺癌の遠隔転移がしばしば見られます。また、腫瘍が血管に塞栓を形成し、大動脈血栓塞栓症(ATE)を引き起こすことがあります。この状態は心疾患に次ぐ頻度で確認され、腫瘍栓による肺実質の出血や壊死を伴います。

不自然な組織から腫瘍が検出された場合、常に肺がんの存在を疑うべきです。これには肩甲骨、頬骨、骨格筋、皮膚への転移が含まれることがあります。そのため、異常が見られた際には速やかに専門医の診断を受けることが推奨されます。

原発性肺腫瘍の組織形態と診断

原発性肺腫瘍はその組織形態によって分類されます。これには異形性肺胞過形成、細気管支肺胞腺腫、微小浸潤性腺癌、鱗状型、微小乳頭型、腺房型、充実型(粘液産生を伴う)、扁平上皮型が含まれます。また、複合癌や神経内分泌腫瘍、肺芽腫も見られます。

診断には免疫染色が用いられ、TTF-1、PDGFR、ALKの発現を確認することで、肺腺癌の原発かどうかを判断します。未分化肉腫や組織球肉腫の可能性がある場合、NSE強陽性が指摘されることがあります。

画像診断と肺腫瘍の鑑別診断

肺腫瘍の診断にはCTスキャンが広く用いられます。特に、腫瘤が気管分岐部に近い場合や心基底部に位置する場合の詳細な評価に役立ちます。造影剤を使用せずに気管リンパ節や気管支リンパ節、肺内転移の検出が可能です。

鑑別診断には、肺葉捻転、肺葉虚脱、肺葉硬化を評価し、横隔膜ヘルニアなど他の可能性を排除します。これにはCTでの病変部の血流観察や、エコーでのミラーイメージアーチファクトの確認が含まれます。