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脾臓の血管肉腫【がん】

脾臓腫瘍と血管肉腫の概要

脾臓腫瘍の半分は悪性で、その中でも血管肉腫が最も一般的です。この病気は特に中高齢の大型犬に多く、ジャーマン・シェパード、ゴールデン・レトリーバー、ラブラドール・レトリーバーなどの犬種が好発します。原因としては、ジメチルニトロソアミンを含む食事や、化学物質・紫外線への暴露が考えられます。

腫瘍は破裂しやすく、その結果、腹腔内出血、虚脱、出血性ショック、腹囲膨満、DICなどの症状が現れることがあります。転移は右心房、肝臓、肺、腹膜、大網、横隔膜などへ起こります。破裂や転移による合併症には注意が必要です。

診断と予後不良のリスク因子

診断にはX線、腹部エコー、術前心エコーなどの検査が行われます。予後不良のリスク因子には、血小板数1万以下、HT 30%以下、腹腔内転移、腹膜に黒い点々などが挙げられます。

血管肉腫の治療と予後

血管肉腫の治療としては、手術が一般的ですが、予後はあまり良くありません。手術単独での生存中央値は約2.7ヶ月で、手術後48時間以内に死亡する割合は約1/3です。術後6ヶ月生存率は13%です。化学療法(ドキソルビシン)を併用することで、生存期間は2~3倍延長されることが報告されています。

血管肉腫の細胞診は確定診断が困難で、通常は脾摘後の病理組織検査まで暫定診断で治療が行われます。血管肉腫には凝固異常が関連し、DICのリスクがあります。このため、血液検査や腹水検査が重要です。

代替治療法と新しい治療法の開発

脾臓の血管肉腫の治療オプションとしては、ドキソルビシンを主とした化学療法と、メトロノーム化学療法化療法の併用が検討されることがあります。メトロノーム化学療法は、低用量の抗がん剤を継続的に投与することで、副作用を抑えつつ、腫瘍細胞の増殖を抑制し、生存期間の延長を目指す治療法です。一方、結節性病変と高分子化療法では、特定の化学物質を標的にすることで、腫瘍細胞の増殖を抑制し、同時に健康な細胞への影響を最小限に抑えることを目指します。

また、免疫療法や分子標的薬の開発も進められており、今後の治療法の改善が期待されています。これらの新しい治療法は、従来の化学療法や手術と併用されることで、さらなる生存期間の延長が期待されています。

予防と適切なサポート

脾臓腫瘍の予防としては、定期的な健康診断を受けさせることで、早期発見・早期治療が可能となります。

最後に、脾臓腫瘍を患った犬に対しては、適切な治療とサポートを提供することが大切です。愛犬が快適な生活を送るために、症状や治療方法について獣医師と十分に相談し、犬のストレスを軽減する環境整備に努めましょう。

ただし、脾臓の血管肉腫に対する治療の選択や効果は個々の症例によって異なります。最適な治療法は、獣医師との相談を通じて決定されるべきです。獣医師は、犬の状態や腫瘍の進行具合、治療のリスクと利益を考慮して、最善の治療プランを提案します。