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避妊手術

目次

  • 避妊手術の重要性
  • 当院での手術方針
  • 手術手順
    • 手術前の準備
    • 手術準備
    • 手術開始
    • 妊娠中の避妊手術
    • その他の確認事項
    • 出血時の対処方法
  • 避妊・去勢手術費用のご案内

避妊手術の重要性

犬の場合は2回目の発情期までに、猫の場合は1歳までに避妊手術を行うことで、乳腺腫瘍(乳がん)の発生を大きく抑えられることが知られています。

犬の子宮は閉鎖型の構造をしており、細菌感染が起こると、膿が外へ排出されず子宮内に溜まってしまいます。この状態が「子宮蓄膿症」であり、進行すると全身状態が急激に悪化し、命に関わる緊急疾患となることがあります。

避妊手術では卵巣と子宮を切除しますが、もし腎不全や敗血症などの疾患がある状態で手術を行うと、麻酔や手術中のリスクは大きく上昇します。そのため、全身状態が安定している若齢期に手術を行うことが、安全性の面でも重要です。

女性ホルモンの影響によって発生する乳腺腫瘍は、猫ではほとんどが悪性であり、犬でも約50%が悪性とされています。そのため、成長が十分に進んだ6か月齢前後での避妊手術が推奨されています。

なお、発情が3回以上起こった後に卵巣を摘出した場合、乳腺腫瘍の予防効果はほとんど期待できないとされています。


当院での手術方針

当院では、避妊手術を安全に行うため、すべての症例において術前に血液検査を実施しています。これは、麻酔薬が代謝される肝臓や、排泄に関与する腎臓に異常がないかを事前に確認するためです。

手術では、臍(へそ)の下を数センチ切開し、腹腔内に進入して卵巣および子宮を確認します。子宮に明らかな病変が認められない場合は、血管を適切に処理したうえで卵巣のみを切除します。

子宮全体を切除する方法もありますが、この方法では尿道の位置が変位することで尿失禁が起こる可能性があります。また、結腸付近の神経に影響が及ぶことで、術後に便秘を引き起こすリスクもあります。

これらの理由から、当院では原則として卵巣のみを切除する方法を採用しています。


手術手順

手術前の準備


  • 毛刈り:手術部位の皮膚を左右対称にきれいに整えます。
  • 麻酔:猫の場合、体重3kgに対してドミトール0.1mlとケタミン0.2mlを筋肉注射で投与します。
  • 吐き気への対応:吐き気がある場合は、誤嚥を防ぐために、お腹を持ち上げ、頭を下げて吐物を受け止めます。
  • 吐き気が出た場合:誤嚥を防ぐために、お腹を持ち上げて頭を下げた姿勢にし、吐いた物を膿盆(容器)で受け止めます。
  • 呼吸確認:呼吸状態の確認が重要です。特に麻酔導入直後は呼吸停止のリスクがあるため、挿管と酸素の供給はスムーズに行います。
    (ここでもたもたしてると麻酔事故になります。)
  • 排尿促進:膀胱を優しく圧迫して排尿を促します。🐱
  • 毛刈り後の清潔保持:毛刈り後は粘着ローラー(コロコロ)で皮膚を清潔にします。

手術準備


  • バスタオルの使用:バスタオルを臍の下に敷き、臓器が1cmほど持ち上がることで手術がやりやすくなります。

手術開始


  • 体位固定:前脚は「万歳」の形、後脚は「カエル足」の形で固定します。
    十字架型の腕の配置では肺が圧迫されて呼吸が上手くできません。
    胸椎と剣状突起のアングルを合わせ、体軸をまっすぐにして、切開ラインがずれないようにします。

スペイフックという器具を使って子宮を探し、ゆっくりと引き上げます。
この際、膀胱の周りや尿管を傷つけないように注意し、膀胱の近くに進みすぎないように操作します。
側腹部まで進まず、操作は乳頭付近で止めます。
また、後腹膜の脂肪部分を慎重に探索します。

左側の子宮を引き出す際の注意点

  • 大網の処理:左側の子宮を引き出すとき、大網(腹膜の一部)が覆っている場合は、これを頭側に戻し、子宮が引っかからないようにします。大網が引っかかると、反対側の子宮を引き出しにくくなります。
  • 手術ミスの防止:子宮を引き出す際、腸間膜(腸を支える膜)を誤って引っ張っていないか確認します。
  • 子宮を引き上げる際の注意:子宮のみを引き上げられているか確認します。子宮は白っぽく、分厚い脂肪で覆われていますが、誤って腸や他の組織を掴んでしまった場合は、すぐに手を離し、無理に引っ張らないようにします。大網は血管が密で、薄く赤っぽいです。
  • 特に、小さな手術範囲では腸間膜からの出血が大きな問題になるため、慎重に操作します。
  • 脂肪の色が違ったり、太い血管が見えた場合は、無理に引っ張らず、いったん確認してから操作を続けるようにします。

卵巣の露出と処理についての説明

左卵巣動脈の処理と視野確保


  • 卵巣を引き上げると同時に、小指と薬指で腹壁を押し下げることで臓器を避け、卵巣を露出させます。
  • 卵巣を引っ張る際には、周囲の脂肪をガーゼで覆い、脂肪が卵巣にかからないようにして、きれいに露出させます。
  • 脂肪に包まれた卵巣を確認し、左手の中指で固定します。

デベーキ鉗子の使用


  • 卵巣動脈をデベーキ鉗子で挟むときは、血管と靭帯を並べてから挟むようにし、鉗子は腹壁に平行にセットします。
  • デベーキ鉗子のロックは2回行い、1回だけでは止血が不十分になる可能性があるため、慎重に確認します。
  • デベーキ鉗子が組織に絡んだ場合:もし近くのガーゼや腹壁がデベーキに巻き込まれてしまったら、無理に鉗子を引き抜くと、組織が腹腔内に入り込み、出血のコントロールができない。ガーゼや周囲組織を抜かず、下から押し上げて、隙間からデベーキかモスキートで掴み直し、最初のデベーキを外します。

脂肪の圧迫と焼灼


  • 脂肪を押して圧迫し、卵巣動脈に向けて薄くしながら操作します。
  • また、リガシュアを使って脂肪を焼く際は、脂肪を軽く牽引し、しっかりと焼灼することで、脂肪が残らないようにします。
  • 脂肪が水っぽい場合は損傷しやすいので注意が必要です。

出血の確認と処理


  • デベーキ鉗子で固定した部分に出血がないか確認します。
  • もしシーリングが不十分であれば、ペアンをかけてから再度リガシュアで焼灼します。

卵巣と子宮の切断


  • 卵巣と子宮の間にリガシュアをかけて焼灼し、ハサミで切断します。

ペアンの使用

  • 出血を防ぐため、卵巣動脈周囲にペアンをかけます。尾側(後ろ側)のペアンは血管を傷つけないように広めにかけ、頭側(前側)のペアンを外す前に、真ん中に新たにペアンをかけて操作を行います。
  • モスキート鉗子での操作:モスキート鉗子で卵巣提索をつかみ、卵巣の頭側(リガシュアで焼いた場所)を切断します。
  • 結紮糸で卵巣動脈の処理を行う場合:モスキート鉗子を卵巣と腎臓の間にかけ、卵巣に近い方に鉗子をセットします。結紮糸は二重に結び、糸と糸の間に隙間ができないように連結します。隙間ができると、断端嚢腫(術後ののう胞)ができるリスクがあるため、注意します。モスキート鉗子の下に2-0の絹糸を通して軽く結紮し、モスキートから少し離れた場所で結紮します。

糸の結紮と確認手順

糸の持ち方


右手の持針器で糸を短く持ち、薬指と小指でしっかりホールドします。

結紮の手順


結紮する際、裏側の糸が透けて見えるか確認しながら、右手の中指で卵巣靱帯の裏側から糸を抑えます。
親指と人差し指で、卵巣とモスキート鉗子をしっかり保持し、他の組織が絡まないように確認します。

左手で糸を引く


左手で糸を引き、続けていくつかの結び目を作ります。これを連続して2つの糸で結紮します。

反対側の卵巣へのアプローチ手順

  1. 膀胱周りの操作:膀胱の下側には大網(腹膜の一部)がないため、左手の薬指を使って膀胱の下に入り、大網や脂肪を頭側に避けながら卵巣まで到達します。
  2. 子宮の分岐部を確認:反対側の卵巣に進む前に、子宮の分岐部を確認します。麻酔師がライトで照らして視野を確保し、操作が見えやすくなります。トイプードルのように子宮が細い犬や、産後の猫で子宮が弱い場合は、特に慎重に扱います。
  3. モスキート鉗子の使用:左側の子宮をモスキート鉗子で軽く挟み、上方と尾側に引っ張りながら操作します。
  4. 脂肪の整理:子宮広間膜の脂肪は下に向けて整理し、上に絡まないようにします。また、腹膜も後ろの上方向に引っ張って脂肪を整えます。
  5. スペイフックの操作:スペイフックをハの字型に操作し、腹膜や周囲の組織を引き上げて視野を確保します。子宮を引っ張る際に脂肪や他の組織がスペイフックに絡まないよう注意します。大網が邪魔な場合は、Y字に広げて子宮頸管を確認します。
  6. 子宮頸管の操作:子宮頸管を狙って、スペイフックを右方向、尾側、腹側へ動かしながら釣り上げます。膀胱の背側に位置しているため、やや浅い場所を探ります。
  7. 視野の確保:右の卵巣が切開部にかかって視野が不十分な場合は、無理に手術を進めずに白線を数ミリ広げて視界を確保します。必要に応じて、脂肪をガーゼで軽く押し、血管を見やすくします。

妊娠中の避妊手術 (spay)

  1. 子宮の処理:子宮を外側から圧迫して取り出します。切開ラインは、子宮の太さに合わせて1〜2cm程度広げます。
  2. 子宮頚管の結紮:子宮頚管を鉗子で圧迫し、結紮します。左手で裏側の結び目を押さえ、鉗子を使いながら糸を引き、視野を確保します。
  3. 発情出血の確認:発情後1〜1.5か月間は手術を行わないことが望ましく、黄体期では子宮が伸びやすく、乳腺が発達するため、注意が必要です。3か月以降に手術を行うことが推奨されます。

その他の確認事項

  • 乳歯の確認:乳歯が残っている場合、8か月まで待つと自然に抜けることが多いです。(4-6ヶ月で取れることも。)
  • ヘルニアの確認:臍ヘルニアや鼠径ヘルニアがあるか確認します。

出血時の対処方法

腹腔内で出血が確認された場合


出血しやすい場所:

  • 卵巣動静脈
  • 子宮動脈
  • 子宮頚管(特に出血が厄介)
  • 腸間膜

止血の手順:

  • 切開部を広げて確認:子宮広間膜から卵巣に沿って進み、出血部位を確認します。
  • 圧迫止血:ガーゼを使って圧迫し、静脈血の場合は約5分の圧迫で止血が可能です。動脈からの出血は圧迫だけでは止まらないことが多いので、迅速な対応が必要です。
  • 腹腔内へのガーゼ挿入:出血が続く場合は、ガーゼを腹腔内に挿入し圧迫を続けます。
  • 視野を広げる:指を腹腔内に入れて臓器を保護しつつ、切開ラインをハサミで広げて視野を確保します。
  • 出血点の特定:腹腔内全体を鑷子(ピンセット)で広げ、膀胱を外側に移動させて出血部位を探します。
  • 静脈性出血の確認:静脈からの出血は脂肪の周囲で確認されやすく、内出血点を探して圧迫します。
  • 動脈性出血の対処:動脈からの出血の場合、外側に臓器を引っ張り出し、圧迫して止血を行います。

避妊・去勢手術費用のご案内

犬の手術費用

避妊手術
体重 料金
〜5kg ¥54,000〜
5〜10kg ¥63,000〜
去勢手術
体重 料金
〜5kg ¥40,700〜
5〜10kg ¥47,000〜
腹腔内精巣(入院費含め)
体重 料金
〜5kg ¥55,000〜
5〜10kg ¥66,000〜
皮下精巣(入院なし)
体重 料金
〜5kg ¥46,000〜

猫の手術費用

避妊手術 ¥36,700〜
去勢手術 ¥25,300〜

処置内容と内訳

処置内容 薬品名/詳細 料金(税別)
静脈カテーテル設置 ソルラクト250mL ¥5,720
抗生剤注射 アンピシリン100mg ¥2,200
術後抗生剤 アモキクリア ¥1,210
術後管理費 術後の経過観察・処置 ¥10,000

※料金は基本費用であり、追加処置や入院が必要な場合は別途料金が発生します。