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鼠径ヘルニア



🐾 ヘルニアについて理解しよう 🐾

ヘルニアは、体壁の欠損部分や裂け目から臓器や組織が脱出する状態です。犬と猫でよく見られ、特に会陰ヘルニアや臍ヘルニアが一般的です。ヘルニアは大網膜、小腸、子宮などの脱出を引き起こすことがあります。


🐶 犬では、会陰ヘルニア、臍ヘルニア、鼠径ヘルニア、術後ヘルニア、腹壁ヘルニアが一般的です。

🐱 猫では、臍ヘルニア、腹壁ヘルニア、術後ヘルニア、鼠径ヘルニア、会陰ヘルニアの順に発生します。


🐾 ヘルニアの症状を見極める 🐾

ヘルニアの嵌頓が起こると、動物は腹痛、吐き気、元気消沈を示します。ヘルニア部位は硬く、熱を持ち、痛みがある場合があります。鼠蹊部の穴が大きくなり、腸が飛び出して戻らなくなると、飛び出した腸は腐り、急性の腹膜炎になる危険があります。

🐾 ヘルニアの診断方法 🐾

X線検査や超音波検査は、ヘルニアの確認に非常に有用です。特に触診で確認が難しい場合、これらの検査が重要となります。腸の通過障害が疑われる場合は、消化管の陽性造影も必要になることがあります。

🐾 ヘルニアの治療法 🐾

臍帯ヘルニアは、生後6カ月まで経過観察を行います。遺伝的素因があるため、避妊処置が推奨されます。先天的ヘルニアは、体壁の開口部の収縮不全や癒合不全により発生します。

鼠蹊ヘルニアは、足の付け根の隙間から腹内臓器が飛び出すもので、外科手術で鼠径輪を閉鎖縫合します。大腿部に繋がる太い血管を締めすぎないよう注意し、縫合の締め具合によっては再手術が必要になることもあります。


ヘルニア手術に関するメモ

絞扼で腸壊死した部分の処置

ヘルニア嚢切開後、血管を結紮し、絞扼を解除する。

広範囲にわたる場合、事前に血管結紮ができないことがある。

壊死が尾側骨盤腔内まで及ぶ場合、切除後に人工肛門を作成する。

麻酔中はVPC(不整脈)に注意する。

手術のポイント

  • 鼠径部の穴をきちんと触診で確認する。
  • 迷子にならないように常に触診を行う。
  • 大きいヘルニアの場合、狭い切開範囲に脂肪がかぶることが多い。鼠径輪に沿って乗っている脂肪が多いときは、左手でヘルニア嚢を引っ張りながら、右手にガーゼを持ってこすようにして、筋層を同定しながら剥離する。
  • 狭く深く剥離しないように、円周をきれいにするイメージで脂肪まみれの部分も臆さずにメッツェンを入れて剥離する。
  • 小さいヘルニアの場合、脂肪の下の筋膜を露出させてから、ゲルピーをかける。脂肪を十分剥離しないうちに脂肪の中間層でゲルピーを平行ラインで頭尾側にかける。
  • 剥離スポットをいくつも作らない。
  • 大腿部の剥離から繋げていく。筋層を露出してからゲルピーをかけ、細かい剥離をたくさん行うと出血の原因になるため、
    血管が見えたら他をアプローチせず、血管をランドマークにして剥離を進める。
    1箇所から繋げていく。
  • メスは乳腺の浅後腹壁動脈が皮下に走るため、リガシュアで処理する。ただし、浅後腹壁動脈が出てくる場合は剥離しすぎて迷子になることがあるので、一度術野を離し、穴を触診してからアプローチする。
  • 大腿動脈は大腿の筋の直上を走行し、頭側は筋内の下で皮下を走行するため、縫合時に注意が必要。

デブリード

  • モスキートで掴んだところより頭側の鼠径輪をメッツェンで薄くトリミングする。
  • 頭側の皮膚切開が足りない場合はメッツェンで頭側切開を広げる。
  • 飛び出る脂肪を尾側から、綿棒かガーゼを入れ込み、出ないようにしながらモスキートのすぐ頭側をプロリン5-0/4-0で縫合し、結紮する。綿棒を外して頭側まで連続縫合する。縫合時は針を刺入するのではなく、組織を持ち上げて針にかぶせるように縫う。針を下に向けて入れると出血につながる。鼠径輪に糸をかける時は必ずデベーキで鼠径輪を持ち上げて糸をかける。持ち上げないと中の血管を傷つけてしまう。
  • 頭側は皮膚がかぶさって縫いにくいため、綿棒を外して頭側まで連続縫合する。頭側を縫合する時は皮膚がかぶさり、視野が得られないことが多いため、左手の甲を押し付けて頭側に引っ張ることで皮下を見やすくする。