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犬の肥満細胞腫

肥満細胞腫とは

肥満細胞腫は犬の皮膚や皮下にできる「がん」です。肥満細胞腫の中でも、手術だけで治ってしまう悪性度の低いものから、全身に転移を起こすものまであります。

肥満細胞はもともと免疫細胞の一種で、体の中に異物が入ったときに、炎症やアレルギーを起こすように働きます。

ヒスタミンの効果

肥満細胞はヒスタミンという物質をたくさん含んでいます。刺激を受けると、ヒスタミンが大量に放出され、しこりが急に腫れ、アレルギー反応や低血圧、胃潰瘍で吐いてしまったり、最悪ショック状態に陥ることもあります。

肥満細胞腫の診断と治療

肥満細胞腫と診断されたら、いじりすぎないように注意しましょう。悪性度は腫瘍組織の病理診断で診断され、手術後に摘出した腫瘍を病理検査センターに提出して診断されます。結果は約1週間で出ます。

腫瘍が取り切れているかどうか、および悪性度がどの程度か(グレード1〜3と悪性度が上がります)を主に評価されます。

肥満細胞腫のグレードと治療

グレード1: 悪性度が低い肥満細胞腫です。取り切れていれば、後の治療は必要ありません。

グレード2: 悪性度が中間の肥満細胞腫です。取り切れていれば大丈夫なのですが、転移しやすい肝臓や脾臓などの臓器付近リンパ節などより注意が必要です。

グレード3: 悪性度が高い肥満細胞腫です。高確率で再発するため、大きな範囲を切り取り、補助療法として抗がん剤治療をしていきます。

腫瘍切除の基準

・3cm未満で悪性度が低い時、腫瘍から2cmの幅と筋膜一枚まで取ります。

・3cm以上の場合、腫瘍から3cmの幅と筋膜一枚まで取ります。

高度な肥満細胞腫の治療

グレード3の場合は、手術だけでの完治は難しく、イマチニブやトセラニブ(商品名:パラディア)といった分子標的薬を組み合わせて治療を行います。これらはがん細胞を効率よく攻撃することで、副作用を低く抑えるメリットがありますが、大きな腫瘍だと1ヶ月で耐性化して効かなくなるデメリットもあります。

当院では、使用前に遺伝子検査(c-kit遺伝子検査)を行い、治療の効果を事前に評価しています。

転移の確認と全身評価

手術前には肝臓などの臓器に転移がないかをお腹の超音波検査で確認し、血液検査やレントゲンなども組み合わせて全身状態を把握します。特に高齢犬では、安全に手術が行えるかの麻酔前の評価としても、全身をもれなく把握できるように努めています。