診察時間
午前9:00-12:00
午後15:00-18:00
手術時間12:00-15:00
水曜・日曜午後休診
初期の治療になかなか反応しない消化器疾患に対しては、
IBD【炎症性腸疾患】の可能性がないかを疑い、
診療を進める必要があります。
IBDとは
異物が体内に侵入したときに、
私たちの体の中では、
抗原抗体反応と呼ばれる免疫のシステムが異物を認識し、排除するように働くことで、
細菌やウイルスの感染症から、
体を保護してくれます。
この免疫システムが正しく働かず、
自分の体の一部を異物と勘違いすることで、攻撃してしまう病気を自己免疫疾患と呼びます。
IBDは自己免疫疾患が、消化管に起こってしまう病気を言います。
消化管が正しく機能できないことで、食事から摂取されるはずの、
タンパク質、ミネラル、糖質などが低下することで、栄養失調に陥ります。
アルブミンの低下
アルブミンと呼ばれるタンパク質が低下することで、体液バランスが大きく崩れます。
アルブミンは血管の中で、水分と一緒に移動することで、
体内の臓器に水分を運びます。
低アルブミン血症【特にアルブミンが2.0を下回る】になると、
血管の中にあった水が、
血管の外へ流出してしまいます。
脳内で起こると、脳浮腫→てんかん
胸の中で起こると、胸水→呼吸困難
お腹の中で起こると腹水→食欲不振や嘔吐、下痢
の二次的な症状を引き起こします。
致死的な症状に至ることが多く、早期発見、早期治療が必要です。
血液検査や腹部エコー検査
確定診断は内視鏡生検になりますが、全身麻酔が必要になるため、
高齢の子では、血液検査や腹部エコー検査から、疑診し、
感染症の遺伝子検査で陰性であることを確かめてから、
試験的に免疫治療を行い、治療反応をみることもあります。
血液検査
低アルブミン血症や、炎症マーカーが高いのが特徴です。
腹部エコー検査
消化管の形や腹水の観察を行います。
免疫治療
初期は即効性のあるステロイド治療を行います。
ステロイドは肝臓、腎臓、膵臓に負担をかけてしまうため、長期で使用することはできません。
数種類の臓器の保護剤を用いながら、使用します。
ウルソ;肝臓
カモスタット;膵臓
シクロスポリンは、ゆっくり効き始め、2週間から1ヶ月程度で、持続的な効果を得られます。副作用は稀に嘔吐や歯肉増生ですが、安全性の高い薬です。
ステロイドとシクロスポリンを併用し、シクロスポリンが効き始めたら、徐々にステロイドを減らしてシクロスポリン単独の治療へ切り替えていきます。
シクロスポリンが効いているかの判定
シクロスポリンの血中濃度を測定します。
外注検査になります。
シクロスポリンの目標トラフレベル(有効血中濃度)は100〜600ng/mlです。
また、シクロスポリンは、併用する薬によって、血中濃度が必要以上に高くなって(効きすぎて)しまったり、血中濃度が低くなって(効果が減弱して)しまったりします。
下記の薬を併用している時には注意が必要です。
シクロスポリンの効果を増強させる薬💊
副腎皮質ホルモン製剤(高用量メチルプレドニゾロン)
カルシウム拮抗剤(アムロジピン、ベラパミルなど)
マクロライド系抗生物質(エリスロマイシンなど)
アゾール系真菌剤(ミコナゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾールなど)
クロラムフェニコール
ニューキノロン系合成抗菌剤(エンロフロキサシン、オフロキサシンなど)
炭酸脱水素酵素阻害薬(アセタゾラミドなど)
シクロスポリンの効果を低下させる薬💊
ST合剤(トリメトプリムサルファ剤)
抗真菌剤(テルビナフィンなど)
高脂血症治療薬(プロブコールなど)
消化管潰瘍用剤(オメプラゾールなど)
抗生剤(リファンピン)
抗てんかん薬(フェノバルビタール、ジアゼパムなど)
また、下記の薬とシクロスポリンを組み合わせると、腎毒性が増強される事があります☠️
アミノグリコシド系抗菌剤(ゲンタマイシン、カナマイシンなど)
ST合剤(トリメトプリムサルファ剤)
アムホテリシンB(ポリエン系抗生剤など)
ニューキノロン系合成抗菌剤(エンロフロキサシン、オフロキサシンなど)
NSAIDs(カルプロフェン、メロキシカムなど)
院内の検査では腹水がなくなっていることや、アルブミンが増加することを確認します。
食事療法
特にステロイド使用中は膵炎に注意しましょう。
低脂肪食が基本になります。
ロイヤルカナン;低脂肪
ヒルズ;i/d ローファット、コンフォート
Dr‘s care;ストマックケア
トッピング;芋、カボチャ、ささみ、鶏胸肉など
☠️☠️豚ひき肉、牛肉など、フライパンで油を引かずに炒めても、油が出てくるものは絶対だめです。🏴☠️バター付きのパンなどももちろんだめです。
IBD さだひろ動物病院